石川一郎先生の著作『2020年からの教師問題』から考える

香里ヌヴェール学院の学院長である石川一郎先生の著作「2020年からの教師問題」は、従来型の学校教育や教員のあり方に対しての挑戦状です。

自ら学校現場に身をおきながら、学校や教師に対してこれだけクリティカルな目が持てるのは、石川先生が幼少の頃にニューヨークで育ったことと関係があるのかもしれません。帰国生入試問題が例に取られていたり、アメリカやフィンランド、あるいはフランスの教育事情が入っていたりと、世界が向かっている教育と、日本でしか通用しないような従来型教育とが対比されているのは、元帰国子女としての感性が働いている証と言ってよいかもしれません。

しかし、それは単に外国にかぶれた人が事あるごとに日本を批判するという図式とは全く異なる性質のものです。自分の居場所だと強烈に意識するからこそ出てくる愛情表現なのです。2020年の大学入試改革に何が起きるかといった野次馬的根性ではなく、2020年の大学入試改革をきっかけにしてどのように教育現場を変えていくのかといった当事者意識がひしひしと感じられる書です。

私どもGLICCも、大学入試に依存する塾ではなく、21世紀型の学びを提案するコミュニティとして自分たちの存在を位置づけています。ですから、この著作から、21世紀にあるべき教師像について大いに考えていこうと思います。2017年の始まりに、よい刺激をいただきました。