日経デュアルが「新私立中入試」について取り上げています

新私立中入試に目をつけたのは、さすが若い親をターゲットにしている日経デュアルです。サブタイトルには

"進学塾に行かなくても中学受験ができる時代 増える新スタイルの「思考力入試」「英語入試」"

とあり、「思考力入試」が従来の適性検査型入試と異なるものであることもしっかり押さえています。

 日経デュアルの記事はこちらです

進学塾がどういうものを指しているのか、GLICCが勝手に解釈するならば、国語・算数・社会・理科という4科目を受験科目として設定し、この4科受験生の数を増やすことによって、「受験学力」という名のヒエラルキー幻想を作り上げてきた塾です。GLICCは、そういう進学塾とは一線を画し、自らを「学習コミュニティ」と位置づけています。本来の私塾という意味であるならば、その名称はぜひ使いたいところですが、現状では「塾=暗記詰め込み」のイメージが強いので、使うことをためらっているわけです。

それはともかく、安田教育研究所の安田氏は新タイプの入試をかなり細かく分析してくれていて、参考になります。

私立学校の中でもいち早く思考力入試を採り入れたかえつ有明の今年の問題についても、設問を抜粋し、解説しています。

病院の診察や銀行の窓口も基本的には早い者順ですが、整理券を取ってもらい、その番号順に対応するようにしているところが多いようです。一方、電車の指定席や飛行機のファーストクラス、船の一等船室などのように、より高い金額を払うことで、よい席やサービスを受けられることもあります。
仮に、病院での診察順が、整理券の購入金額によって決まるとしたら、どのような問題が生じると思いますか。あなたの考えを書きなさい。

(かえつ有明中・高等学校 平成29年度 2月1日午前 思考力入試 思考力テストⅠ【3】問2から抜粋)

安田氏は、かえつ有明の思考力入試は、ふだんの授業と連動していて、評価もルーブリックを使うことによって採点が可能になっていると、入試と授業のつながりの重要性を指摘しています。一方でそのつながりがない学校をしっかりと見分けることも必要だと注意を促しています。

「思考力入試を実施しているのは、日ごろから世の中に関心を持ち、自分で考え、それを人に伝える力を持っている子、またはその“のびしろ”がある子に来てほしいという思いが込められているのです」

「しかし、今急激に増えている思考力や表現力を問う入試問題を実施している私立中高一貫校のすべてが、そうであるとは言い切れません。入試では『思考力』や『表現力』を名称に使っているものの、実際の授業はそれに伴う内容ではない学校も少なくありません。そうした学校は、単に生徒募集の手段として採用しているだけにすぎないのです」

GLICCも同感です。だからこそ、学校の「教育の質」を見極める情報が求められるわけです。学校のソーシャルメディアや学校説明会などは、直接先生方の考えに触れる大きなチャンスです。偏差値という相対的なポジショニングではなく、学校評価のための基準=ルーブリックを確立することです。そうすれば、多様な入試は、選択を迷わされる厄介なものではなく、むしろ自分の行くべき学校を選び取るための大きな指標となってくるはずです。