現在小論文を指導している帰国生から、ケンブリッジ大学合格の報せが届きました。
ケンブリッジはその生徒の第一志望で、もしそこがダメだった場合は東京大学にチャレンジするつもりでこれまで日本語小論文を勉強していました。
小論文の出来は毎回素晴らしいもので、東京大学の合格可能性もかなり高かったのではないかと思います。しかし、10月からはケンブリッジの学生ということで、他の受験は全て取りやめ、小論文対策も終了となります。
合格に必要となる成績や英語力についてはいずれ検証していくとして、今回は彼女がケンブリッジ大学への対策として重視していた面接についてお伝えします。
すでに行きたい学部を決め、その学部がケンブリッジにしかないことを知っていた彼女は、思考力を必要とするケンブリッジやオックスフォードで出題されるタイプの面接対策に焦点を絞りました。もちろんどんなトピックが問われるかはわかりませんから、興味の対象を広く持つことを意識しつつ、「思考力のトレーニング」をしてきたということです。
そのトレーニングとは、思考のプロセスに注目するということです。「結論ではなく、とにかくプロセスにフォーカスします」と彼女は話していました。文章の分析は、要約よりもロジックを確認し、そのロジックが別のことにどう適用できるか、あるいは繋がるかを考え、そういうアイディアを日々OneNoteにまとめていたそうです。
「もし対話の中であるトピックについて問われ、すぐに結論に至ってしまったとしたら、それは問いが良くなかったか、議論が良くなかったかということではないか。良い議論であればあるほどそれはプロセスが楽しめるものなのではないか」と、問いかけてきます。
もちろんその問いを受けた私の方では今度はそれを発展させていくことが期待されているわけで、プロセスを楽しむためのスキルを例に示して返してみます。
「例えば<具体化>することで議論が活性化することがあるよね、そのようなスキルを意識したことはあるか」と。
それを受けて彼女は、実際の面接の時にはこんなやり取りがありました。・・・・という感じでやり取りが続くのです。
そのやり取りで再確認したことは、思考力セミナーで行っている思考コードと思考スキルの有効性です。
知識重視の教育に慣れてしまっていると、思考のプロセスにフォーカスした学びの有効性が感じ取れなくなってしまうようで、たまに思考力テストの効果を疑問視するような意見に出くわすことがあります。そういう人たちは知識量が得点に換算されるようなテストを客観的と考えて、その知識の有効性について検証しようとしない傾向があります。これを覚えるのは当たり前だと。
しかし、今回のケンブリッジ合格者の体験談から明らかであるのは、やはり高度な対話のスキルを持つには、思考のトレーニングを意識することが必須だということです。
現状では中学入試を中心に広がっている思考力テストですが、今後は大学入試にも広がっていくことが「主体的・対話的」な学びを促進する上で重要だと言えるでしょう。
そう言えば、9月2日には静岡聖光学院で思考力セミナーが実施されます。一度新しい学びを体験してみてはいかがでしょうか。