かえつ生 オックスフォード大エッセイコンテストで優勝

先日かえつ有明の先生から、海外進学を検討している生徒がいるので相談にのってあげてほしいと連絡を受けました。かえつ有明は、一昨年度Kings Collegeに、昨年度はUCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)に合格者を輩出、世界大学ランキングで東大以上の大学へ次々と進学実績を出している学校です。私に連絡をくださった先生も、かつてアメリカで日本人中高生に物理や数学を指導していた経験をもち、海外進学、特にアメリカの大学のアドミッション情報に精通している先生です。すでに十分な海外進学のノウハウを持っているはずなのに、わざわざ私に声をかけてきたのはどういうことだろうと思いつつ、その高3生と面談させていただきました。

本人と話をしていくうちにTOEFLとSATのスコアがまずとんでもなく高いということが分かりました。CEFRの基準でC1レベルというのが海外大学を受験する場合に要求される基準ですが、その生徒はほぼC2レベル、つまりネイティブ並みといってよいレベルの英語力です。しかも学校の成績(評定平均)も悪くない。AOや推薦での国内大学進学を念頭に置いてこれまで学習を進めてきたが、海外大学も目指せるのではないかと思い始めたということです。

かえつでは「Honors」という英語選抜クラスでオールイングリッシュの、しかも哲学や文学を題材としてディスカッションをしたり、1500ワードほどのエッセイを書いたりする授業が展開されています。さらに、放課後にも希望者を対象としたTOEFL/SATの講座が開かれているなど、英語を強めたい生徒に対するサポートが充実しています。ですから、高い英語力を持っている生徒が数多くいることは以前から知っていたのですが、この生徒のスコアを聞いた時に、すでに外国語として英語を学ぶという次元の生徒ではないことが了解できたのと同時に、こういった英語力を持つ生徒が国内の一条校にいるということに驚きました。

この生徒は、自分の英語力がどの程度高いのかということをこれまで意識していなかったけれど、SATのスコアが受験者の上位1‐3%程度の位置にいる自分の成績表を見て、海外大学を真剣に考えてみようかと思ったということです。通常TOEFLやSATのスコアを気にする生徒は、やれ高いスコアを取るには何が鍵だとか、こういうことに注意するとスコアが上がるなどといったTipsばかり気にすることが多いのですが、この生徒は自分の英語力の相対的位置よりも、大学で学ぶ領域に興味と関心が向いていて、これまでスコアをあまり気にしてこなかったようです。

哲学や神話学に興味があって、哲学エッセイコンテストに応募してみたら、入賞もしたみたいです、と何事もなかったように語るので、念のため、どの大学のどういうコンテストなのかと質問すると、ホームページに出ているので、とURLを教えてくれました。

https://www.oriel.ox.ac.uk/study-us/schools-liaison/lloyd-davies-philoso...

これって、オックスフォード大学?しかも入賞っていうより最優秀賞だよね、・・・名前まで掲載されているじゃない!と、私の方が興奮してしまいました。

最初はエッセイコンテストといっても、留学生誘致のためのサービスの一環のようなものかと考えてしまったのですが、オックスフォードが全世界の17~18歳という大学進学を目指す生徒に向けたコンテストです。もちろん応募するのは英語を母語とする生徒がほとんどであるはず。その中で最優秀賞を獲得したというのは、偉業といってよいと思います。

日本の大学で彼の英語力を活かせるところは皆無でしょう。しかし、そうはいっても海外の名門大学は費用が高額になる。なるほど、私に相談に乗ってと言われた意味がわかりました。海外進学する実力十分なこの生徒に、奨学金を含めた関連情報を伝え、彼が行くべき進学先をサポートしてほしいということだったのでしょう。私の知る範囲でなるべく費用のかからない人的ネットワークの紹介を約束しました。

付け加えると、この生徒は帰国生ではありません。しかし、英語の読み物が好きで小さい頃から多読をしてきたようです。そのような生徒を育て、哲学に目を開かせるというところに、かえつ有明の懐の深さを感じます。Honorsクラスの哲学授業や、探究・プロジェクトを中心に据えた学習環境がこのような生徒を育てているのです。