21世紀型グローバル教育―英語教育

母語がしっかりしないうちに英語を学ぶことの弊害を唱える人がいます。たしかに幼児期に英語環境にいると日本語が出づらくなってくる子は多いようです。しかし、それは母語が日本語の両親から見てそう見えるというだけの話であって、国際結婚などでもともとマルチリンガルの環境に置かれている人にとっては、特に問題となるようなことではないように感じます。

「英語まじりの変な日本語を話している」とか、「敬語の使い方が少し変なのですが」というお悩みも、「純ジャパ」の親から見てそう判定されているだけです。だからといってそれを放っておけばよいということではありませんが、早期のバイリンガル教育を悪者にすることでもないでしょう。

むしろ先輩・後輩や上座・下座を気にするような日本の企業文化は早くなくした方がよいです。それがなくならないと、途中入社や転職は相変わらず不利とされ、いつまでも同じ会社にしがみつく社員ばかりの、安定という名の停滞が社会を覆います。イノベーションが起こりづらい企業文化が刷新されず、日本は沈没し続けるでしょう。世界とのギャップが広がるばかりです。

そうは言っても学歴が大事だよと言われる方がいるのも知っています。大企業で人事を見ていればある意味でその通りでしょう。だから、学歴と英語力でしばらくはサバイバルするのです。本当は学歴なんて関係ないと言ってあげたいのですが、そこはまだ踏みとどまることをお勧めします。学歴はいわば日本で暮らしていくための保険です。そこに資格が加わればなおよいでしょう。

英語はしかし、世界につながるためのツールであり、外国語学習は、母語によって固定化した視点を相対化する機会です。私たちは母語によって思考するというだけではなく、使用言語によって世界を認識するのです。

9月19日(土)の21世紀型教育機構によるウェブセミナーでは、独自の英語教育を実践している学校の先生方がパネラーとして登壇します。英語力が突出している生徒がいれば、たった一人でも取り出し授業を行う用意のある学校の話も聞くことができるでしょう。
 
同時開催の英語哲学セッションでは、いわゆる英語力以上に、「考える力」「発言する力」が試されることになるはずです。英語コミュニケーションを伸ばしたい小・中学生はぜひご参加ください。