今年度から高校部にGlobal Innovation Classを新設して、新たなグローバル教育の次元に突入した聖学院ですが、先日実施されたオンライン国際生入試の受験者数が大幅に増えたと児浦良裕先生(広報部長・国際部長・21教育企画部長)から連絡がありました。なんと昨年比5倍!とのこと。急きょお話を伺うことにしました。国内受験においては、思考力入試という新たなカテゴリーの入試とProject Based Learning(PBL)を牽引してきた同校の魅力はかなり浸透していますが、いよいよ海外在留の方にもその魅力が認められるようになったわけです。
実は、聖学院のグローバル教育の魅力は、CEFRのA1レベルの英語を指導するネイティブ教員チームの指導力や、ワシントン大学(UW)やペンシルベニア大学(UPenn)など海外大学進学実績を知る保護者にはすでに注目されていたのですが、今回の受験者増のポイントは、多様な個性や才能を発揮する生徒が集まることが知れ渡るようになってきたという点にあります。中東や西アジアなど、これまではあまり問い合わせのなかったエリアからの受験者も多かったことがその証左です。
多様な個性を受け入れるためには、従来の学力観だけにとらわれない評価の仕組みが必要です。漢字が書けるかどうか、算数の問題が早く解けるかどうか、英文法を身につけているかどうかといった従来の評価だけでは、とりわけ海外で学んできた帰国生には、辛い環境となってしまいます。
その点聖学院では、思考コードのC軸とカナダの教育理論「ICEモデル」でいうExtensionsを融合し、すべての授業をPBL型にし、創造的思考を評価に組み込んでいます。そのような仕組みがあるからこそ、多様性を尊重する教育環境として海外の保護者に明確に伝わり始めたのでしょう。
数学の教諭である児浦先生は、この日の中1生の授業で統計を扱っていました。平均点で勝っているグループとばらつきが大きいグループという二つを比較しながら、平均が上であるという統計的な数字をクリティカルに捉え返す授業で、生徒たちの創造的な思考を引き出していました。多様性を尊重するには、PBLや思考コード的評価が必須であることを正に地でいく授業でした。
聖学院のオンライン帰国生入試は、A方式が英作文+英語面接+日本語面接で、B方式が思考力+英語面接+日本語面接といった、C軸が問われる面接重視の入試でした。一般受験では敬遠されがちな面接ですが、海外帰国生の場合は、このような入試で受験者が増加するというのは、それだけ従来型学力よりも個性や創造的思考を求めている方が海外在留の保護者に多いということなのでしょう。
聖学院の先生にはGLICC Weekly Eduでも何度かお話を伺っています。
GLICC Weekly EDU 第46回「自己変容型の成長を生み出す学校ー聖学院中高の伊藤豊先生と山本享先生、そして児浦良裕先生との対話」に同校の魅力がよく表れていますので、ぜひご覧ください。