受験も就職もゴールではない

塾という存在は「合格請負人」として見られることが多く、そのため、生徒が目標の学校に合格した時点で「お役御免」となります。

GLICCは、いわゆる「塾」というよりも「学習コミュニティ」ですから、目標校に合格してもらうことは役目の一つではありますが、それがすべてではありません。中学入試から大学入試、あるいは大人になってからの英語学習まで見られる立場だからこそ、様々な助言をしていくことができると考えています。

中学受験のさなかにいる親子にとっては、まずは目の前のゴールである目標校への合格は、何よりも優先すべき事柄かもしれません。しかし、そこに入学するためにしている受験勉強が本当にその後の中高生活、あるいは大学生、社会人となっていく人生において有意義なものかどうかは、渦中にいるだけに見えないのではないでしょうか。

いえ、決して受験勉強が無意味だとは言いたいわけではありません。毎日問題をこなしている努力は尊いものです。しかし、その努力が合格という成果だけを目指したものであるとすれば、努力そのものよりも、合格という結果が本人の成功の指標になってしまいます。合格できなかったのは努力が足りなかったからで、もっと努力すれば合格ができたのだという考え方に陥ってしまうのです。これは、努力そのものよりも合格という結果を重視した考え方ですから、ともすると、結果がよければそれでよいという価値観を植え付けます。

勝ち組になったからそれでよいというのは、より高いステージに上がろうとする意欲を減退させます。例えば大学附属校に入ったからあとはエスカレーター式に上がっていけばよいとか、有名企業に入社したから、これで将来は安泰だなどといった考え方です。

スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授は、そういった考え方を「Fixed mindset」と呼び、子どもの褒め方によっては、チャレンジするよりも人からの称賛を欲しがるような考え方を助長すると警鐘を鳴らしています。学び続けること、チャレンジすること自体に価値を置く考え方、すなわち「Growth mindset」をこそ、育てていく必要があるのだというわけです。

GLICCもドゥエック教授に賛同します。もうすぐ入学・入社のシーズンですが、新たなスタートに際し、チャレンジ精神を忘れずにいてほしいと思います。