スタディサプリが巷で話題になっているようなので、私も遅ればせながら試してみました。で、結論としては、やはりオンライン学習はまだまだリアルの学習に取って代わるまでには至らないなあというごく平凡なものです。
まずコンテンツが、ビデオ視聴中心で双方向とは言い難いこと。これは20世紀末に予備校がビデオ視聴にシフトしていった時代と何も変わりません。違いと言えば、予備校に行ってビデオを見なくても、家で学習できるという点で、これによってサービスの提供範囲が広がったということは間違いありませんが、学習効果の面で進化しているかというと、そこについては甚だ疑問です。
基本的にビデオというのは、インデックス機能が弱いので、必要なところだけをピックアップして参照するということができません。最初から最後まで通して見ないとどこにどういう情報が入っているかが分からないのです。せいぜい早送りによって、10分かかるところを5分で見るといった程度の時間の節約しかできません。つまり学び方を飛躍的に向上させることが難しい媒体だと言えます。
学び方がうまい生徒というのは、インデックスを上手に使います。知識を構造化して頭に入れていくわけです。ところがビデオだとそれができない。ですから、少し学び方が上手い生徒はこういった学び方に苛立ちを覚えると思います。「そこは分かっているんだ」と・・・。
リアルの授業では、教える側はそういった生徒の表情をキャッチして、違う次元の話を織り込んでいくことができます。一方向的な話をしていて、退屈している生徒を目の端でキャッチしたら、さりげなく違う観点からの話をそこに差し挟んでいくわけです。集団授業をやるときには必須のテクニックですが、これができないと、レベルの違う生徒を同じ授業で扱うことはできないということになり、個別指導に向かっていくことになります。
個別に学習特性などを見てケアをしていくにはオンラインツールに可能性があるように思うのですが、集団での学び方を育てるツールとしてはまだまだです。集団の思考を活かすためには、個々がアプリをどう使うかという発想ではなく、ネットワーク環境をどう取り込み、活用するのかということになるのかもしれません。