高木チューターのIB生活 ~スウェーデンのIB校より~ 第1回

早稲田大学教育学部1年生の高木美和です。私は高校時代スウェーデンでIBを受講していたので、そこでの生活を5回に分けて紹介したいと思います。第1回目の記事はスウェーデンに渡ってからIB生活初日までの話をしたいと思います。2回目に授業内容、3回目に日常生活、4回目に入試、5回目に日本の高校との違いを取り上げていきたいと思います。少しでもこれから海外生活をする学生さんなどの参考になれば幸いです。このコンテンツの続きを見るにはユーザー登録(無料)が必要です。

私が通っていた学校はMalmö Borgarskolaというスウェーデンのマルメという都市にある現地校でした。期間は2013年8月から2015年6月までです。IB受講生は毎年約100人で、平均点は34点前後と世界平均を5点ほど上回る現地では優秀な学校として有名でした。そもそもIBとは自身で受講する科目を5つの科目群の中から6つ選び、各科目7点満点、CAS、TOKと論文(EE)を合わせて3点の合計45点満点で、世界では大学入試の判断基準としても広く使われています。日本ではまだこれに加えて各大学の帰国生入試やAO入試を受けることが前提となっていますが、海外の大学によってはIBの成績を提出するだけで入学が決まるところも多くあります。ただしアメリカなどはSATなどの統一試験結果も必要としている場合があるのでそこは注意してください。


Malmö Borgarskola ホームページより

最初に学校を訪問した4月上旬、もうすぐ夏休みだから新入生は受け入れられないと言われました。入試の過去問をもらい、家で勉強すること2か月。試験当日は解けない問題だらけで驚きました。渡された過去問はすべて完璧にしたつもりだったからです。聞くと関数電卓を使わない方の問題しか渡していなかったらしく、試験当日も必要なことが説明されず実施されたため、解けないのも当然でした。たしかに海外で関数電卓を使うことが多いことは知らなかったわけではないのでこちらも多少調べるべきではありましたが、盲点でした。父が学校長を説得し、2か月後もう一度チャンスをいただくこととなりました。結果は合格で、8月からの入学が決まりました。

「国際」バカロレアだし、海外から来ている生徒が大半だろうと、この時点で私は英語で過ごす学校生活を想像していました。しかし、当日始業式に行くとスウェーデン語に囲まれました。壇上に上がったおそらく校長先生と思われる人もスウェーデン語。父が説得した学校長もスウェーデン語。座っておしゃべりしている生徒もスウェーデン語。学校長が名前を呼び始め、呼ばれた生徒が立って講堂を出ていきました。何が起きているのかさっぱりで、知り合いもいません。そこでミヴァ・タラキという名前が呼ばれました。私の名前は高木美和です。正直微妙でした。私が間違った発音で呼ばれているのか、全く別の人なのか。考えた末に間違っていてもどうにかなるだろうと、思い切ってほかに呼ばれた生徒のあとをついていきました。するとどうやらクラス分けをしていたようで、呼ばれた生徒は担任の先生について行ってくださいという指示でした。クラスに座るとまず名前が呼ばれました。今度はミヴァ・タカキ。うーん、おしい。顔を歪めるとようやく英語が聞こえてきました。「ミワですか?ミヴァですか?」よかった、私のことだったと安心しました。

その後クラスで配られた緊急連絡先などの記入用紙もすべてスウェーデン語でした。手をあげてわからないので説明してほしいと言うと、クラスの視線が集まったような気がしました。居心地の悪さを感じながらも記入を終え友達を作ろうかと思いましたが、新入生紹介もなく、終わった途端にみんな帰ってしまってタイミングを逃しました。日本にいるときは全く友達作りに苦労したことがなく、その点についてはあまり心配してなかったので驚きました。これがIB生活初日でした。

その後話を聞くと、スウェーデン語が話せない人は学年で一人いるかいないかで非常に珍しかったそうです。さらに私の通っていた高校はIBコースのみではなく、ほかのスウェーデン語で受講するコースもあったため授業外で英語を使うのは控えていたそうです。その理由はIBをとっている生徒は偉そうだという認識を持つ他コースの生徒も中にはいたためでした。これらの特徴はこの学校特有のものかもしれないので一概には言えませんが、はっきり言ってその国の言葉が理解できないのは非常に不利でした。この話授業とも関係してくるので、2回目にまとめて詳しく説明しようと思います。

校内を歩いていてよく目立ったのが、生徒たちが人種別に生活していたことでした。白人、黒人、アジア人はみなそれぞれ別々に行動していることが多く、その点はインターナショナル校とは違うのかなと感じました。しかしIBそのものは日本の教育とは大きく違い、クリティカルシンキングを要するものが多く、受講を決めてよかったと思っています。

受講科目

  • Math standard
  • English B standard
  • Self taught Japanese higher
  • History higher
  • Psychology higher
  • Environmental systems standard
  • TOK
  • CAS