斉藤チューターの「中国の教育と文化」第1回

こんにちは。中国からの帰国生チューター、斉藤です。
私は小学校から高校生まで学校生活をすべて中国で過ごしました。詳しく言うと、小学3年生までは、中国のローカルの学校で現地の子供たちと一緒に授業を受け、小学4年生から中学卒業までは中国にある日本人学校に通い、高校では現地校の国際部に進学しました。日本式と中国式の両方の教育を受けてきた経験から、私の感じた日本と中国の教育の違いについて書いてみようと思います。

中国の学校は勉強中心

日本の学校では「道徳」や「学活」といった授業があるのに対して、中国にはそのような授業はなく、小学校1年生からとにかく知識を増やすことに力を入れています。日本でいう「実技」の授業も中国には体育くらいしかなく、その体育も中学生になると勉強の時間に変更になることが多いのです。

それほど勉強時間が増える理由は、やはり中国が日本以上に学歴社会だからです。どれほどよい大学を卒業できるかで、就ける職や収入が決まります。よい大学に入るために、また、そのような大学に多くの合格者を出す進学校に入学させるために、中国の親はみんな小学生のころから猛勉強させます。
特にその傾向が強いのは、都市部に住んでいる富裕層や、地方に住んでいても、子供によい教育を受けさせる経済力のある家庭です。

よく「中国人はマナーを守らない」という言葉を耳にしますが、実はマナーを守らないのではなく、そもそもマナーを重視するような教育を受けていないのだと私は思います。

課外活動について

日本には中学生になるとみな本格的に部活を始めますが、中国ではそのような中学生は少ないです。「学校の勉強で精いっぱいで、そんなことやる暇がない」と現地校に通っていた友達が言っていました。
私自身、ローカルの小学校に通っていたころ、頻繁にある小テストや毎日大量に出される宿題に追われて、夜遅くまで勉強していたのを覚えています。中学でもローカルの学校に入学していたら、高校受験に備えて勉強量はもっと増えていたことでしょう。中国の学校の評価は、難関高校・大学への合格率で大きく変わり、翌年の受験者や入学者にも影響が出るので、いかに合格者をたくさん出すかという点に教育カリキュラムの中心を置いているように見えます。その代わり、生徒が塾に通う必要はなく、中国では塾に通う子供が日本より圧倒的に少ないです。

そんな勉強で忙しい中国の子供たちの進路は、たいてい親御さんが全部決めます。日本では中学生くらいになれば自分たちで高校を調べて志望校を決め、受験勉強に挑むのが普通ですが、中国では親御さんが主導権を握っているのが普通です。親に決められた志望校を目指して毎日勉強に明け暮れることができるというのは、それだけ親に対する敬意があるということでもあり、その部分はすごいな、と思います。