パーソナライズ学習と4技能英語

以前に本ブログで「個別指導からパーソナライズ学習へ」という記事を書きました。「パーソナライズ学習」なんて中途半端なカタカナ英語を使って「個別指導」を言い換えただけではないかという声が聞こえてきそうですが、personalized learning (PL)は、すでにアメリカでは教育のトレンドになりつつあります。「個別指導」がグループ学習とは相容れないのに対し、「PL」はグループやクラスでの協働的な学習と矛盾することはありません。

例えば、エッセイライティングを学ぶという際に、書き方のフォーマットはみな共通で学べば効率的です。よく分からないところはグループ内で対話し、使う語数やトピックは生徒の習熟度によって変えることができます。さらに、文法的な面でのサポートが必要な生徒には、関連事項として文法の課題が出され、発展的な内容を書く必要がある生徒には、そのための資料が渡されるわけです。

熟練の教師であれば当たり前に行っていることかもしれません。しかし、生徒数が30名ほどになってくるとさすがに一人一人の学習履歴すべてを反映させた指導は難しくなってきます。前回の課題で生徒がどういう内容のものを書いたか、それに対してどのようなフィードバックを与えたか、などの記憶は曖昧になってくるでしょう。

そこで活躍するのが、学習マネジメントシステムです。生徒が書いたエッセイは日付とともにクラウド上にあり、そこにルーブリック評価も残されています。教師が残したコメントもすぐに確認でき、科目間の共有も可能です。したがって、ライティングの課題を参照して、ディスカッションのトピックを考えたり、リーディング課題の難易度を調整することなどもできるわけです。将来的には、そのマテリアルの候補を選定するのはAIが取って代わることでしょう。

こういった学習のあり方がパーソナライズ学習の方向性です。ここにはICTの利用が欠かせません。現在GLICCでは、授業の復習として、短い動画を見てもらいそこに出てくる英文のディクテーションをしたり、学習の振り返りを1分間スピーチとして録音してもらい、課題として提出するといったことも試みています。

もちろんICTの活用については、学年やそれまでのパソコン利用経験などによって個人差があるので、まだ全員に強制的にやらせることはしていません。ただ、英語の4技能を伸ばす上で、非常に有効なツールであることは確信しているので、少しずつ利用を広げていく予定です。

会員の方はもちろん、これから入会をご検討いただいている方もぜひ注目していてください。