法学部法律学科で学んでいること

チューターの笠松です。

法学部に入る前、高校時代までで私自身が思っていた法律学科に対するイメージというのは、弁護士や裁判官などが集う「法曹界」でした。

今では、これはほぼ違う、と断言できます。もちろん、大学によっては弁護士を含めた法曹を目指す人の比率が非常に高い場合もあると思いますが、ほとんどの場合、法学部生の大半は法曹を目指すこともなく、さらに言うと司法試験を受けることもないと思います。

自分自身は外交関係の仕事に携わりたいと考えていますし、一般企業はもちろん、公務員を目指す人や商社、会計士を目指している、なんていう人も多く見受けられます。弁護士を含めた法曹を目指すという学生は一割前後といったところでしょう。ここからさらに、司法試験の合格率20%前後という篩にかけられるわけですから、法曹界というのは非常に狭き門であることが分かると思います。

また、司法試験を5回不合格になってしまうと、再度法科大学院に入学しなければなくなるため、30代・無職・職歴なしなどといった事態が発生することもあります。大学院の学費も、一般的な大学の学部よりも数十万高く、経済的な負担も大きくなっていることも事実です。また、弁護士になれたとしても仕事がある人とない人で二分化される、なんていう問題もあり、弁護士を目指すためにはハードルがいくつもあるというのが現実です。

次に、法律学科のイメージでよくある誤解と言えば、六法です。「六法全書一字一句全部覚えていますよね!?」「民法90条は!?」・・・などと条文を全部暗記しているなんてことはありません(民法90条は“公序良俗”に関する民法の基本的な総則の部分の条文です)。

以前、高校時代の同級生に「法律どれくらい覚えた?」と聞かれ、「5%ぐらいかな・・・」と見栄を張って答えてしまったこともありましたが、今では条文の暗記にそれほど意味はないと感じます。むしろ、条文をいかに解釈し、いかに読み解くか、という点が大事になってくるのです。

厄介なのは、学者によって解釈が違うことがあることです(それが“学説”といったものです)。条文を覚えることより学説や判例の考え方などを頭に入れる必要があり、ここが法学部生の頭の痛いところであります。