21世紀型教育が20世紀型の教育と大きく違うところはいくつかありますが、最も特徴的なことは授業スタイルに対話を取り入れている点だと言えるでしょう。
対話くらいどんな授業にでもあるでしょうと反論される方もいるかもしれませんが、ここでいう「対話」は、発問による誘導型の問答のことではありません。
世に出ている教師用教材を読んですぐに気づくのは「発問例」などが書かれていて、そこではたいてい解答も想定されています。つまり、問うのは先生の側で、先生は正解を知っていて問いを発するという構造になっているわけです。ですから一見「オープンエンド」の問いになっているようでも、実は、答えは一つであることを生徒の方は見抜いています。
この構造に慣れ親しんでしまうと、知っているか知らないかが問答のカギを握ることになってしまい、結局はクリティカルな見方やあえて極端な反対意見を述べる余地がなくなります。優等生的な発言や正義を振りかざす言説が教室を支配し、息苦しくなる生徒も出てきます。
正解を求められることに慣れてしまうと生徒は寡黙になります。発言をして「間違える」のが怖くなるのです。
質問は生徒の側から、しかもくだらないように思えるものこそ素晴らしいという雰囲気を醸成することがPBL対話型授業のポイントです。断片的知識をたくさん知っていることで終わるだけでなく、それを組み合わせて新たな文脈を創り出したり、現実にはないことを想像したりすることが得意な生徒もいます。そのような生徒が活かされる授業こそが21世紀型教育のエッセンスなのです。
9月19日(土)の21世紀型教育機構によるウェブセミナーでは、そのような授業を展開する学校の先生方がパネラーとして登壇します。特に海外での学習をしてきたお子様をお持ちの方はぜひ参加されることをお勧めします。なぜかといえば、海外の現地校やインター校では対話型PBLがすでにデフォルトですから、日本のどの学校が対話型PBLを実践しているかを知ることは、お子様にとって適切な教育環境がどの学校なのかを知るチャンスだからです。英語哲学セッションも同時に開催されます。小学生・中学生で英語コミュニケーションができる方は参加可能です。哲学的な問いを考えることが好きな生徒(あるいは興味のある生徒)はぜひご参加ください。