「変化を生み出す力」ーグローバルアドミッションの時代②

GLICCスタッフの多くは外国籍の方です。英語講師はもちろんのこと、事務スタッフもこれまで、イギリス、デンマーク、カナダの人が担当してくれました。現在は中国からの留学生(大学院生)と日本語を勉強しているイギリス人が担当してくれています。

彼ら20代から30代前半の人たちの仕事ぶりを見ていると、一つの会社に「就社」するという感覚はありません。会社は経験を積む場の一つです。ある程度経験を積んで、他に面白そうなことがあれば、どんどんチャレンジしていくという点が共通しています。

もちろん彼らとて、結婚して子育てをする頃になれば、落ち着いた生活を望み、マイホームを購入することを考えたりもするでしょう。しかし、その場所は出身国とは限らないし、その住宅を維持するために、会社に自分の時間を捧げるという生き方を選択することはあり得ません。

昭和世代の日本人にとってマイホームを持つことは、人生の目標でした。都内に一戸建てでも持てれば「勝ち組」として羨望の的となった時代もありました。しかし、経済が右肩上がりだった時代が終わり、さらにリモートワークがデフォルトになる今の時代においては、定住にこだわることは様々なリスクを抱えることだとも考えられます。

今後のキャリアデザインを考える上では、生涯で一つの職業を全うすることを前提にするのではなく、いくつかの仕事を経験しながら、世界で通用するスキルを身につけていくことが求められるでしょう。

そのために必要なのが、「リスクテイク=チャレンジ精神」です。チャレンジ精神とは、環境の変化に「適応する」ことよりも、環境の変化を「生み出す」力であると言えます。慣れ親しんだ場所を離れることが次のチャンスを生み出すという考え方をすることです。「人生はやり直しがきかない」とはよく聞く言葉ですが、これは「だからチャレンジしない」ではなく、「だからこそチャレンジする」という意味に解する方が健全でしょう。

組織に依存するのではなく、自分を成長させる契機として組織に所属し、そしてまた新たな環境に飛び出していく、そういった生き方が可能な時代にようやく日本も突入したのではないかと思います。コロナのパンデミックによって物理的な移動に制限がかかっていますが、それが逆にリモートワークや移住という選択を可能にしてしまっていることは、なんとも皮肉なことです。