かえつ有明の思考力入試がバージョンアップ

かえつ有明の思考力入試がまたさらに進化します。かえつ有明の思考力入試には、2月1日に行われる思考力入試と2月3日に行われるアクティブラーニング入試とがありますが、今回大きなバージョンアップが予定されているのは2月1日の思考力入試の方です。これまで批判的/創造的思考力と理数系適性検査型入試の組み合わせとして実施していた思考力入試が、「個人探究活動」を重視した入試へと変化します。

この入試の開発に向けて、かえつ有明の思考力入試作成チームの先生方は1週間に一度のミーティング研修を春先からずっと続けており、夏休みの間にいちど体験授業を実施、先日の10月15日のオープンキャンパスで2回目の「思考力入試体験講座」を実施しました。
 
私も取材に伺い、その内容について少し垣間見ることができました。本番の試験はまだここから方式やスタイルなどは変わる可能性があるという事ですが、探究における「問いづくり」を重視した試験になる方向は確定しているようです。

この入試では、答えを導くことよりも、問いを作り出す力が重要になります。今回のオープンキャンパスの体験講座に集まってきた子どもたちは、そのような「問いを生み出す」プロセスを実体験しました。

そのプロセスとは次のようなものです。

  1. 動画や書物から、あるトピックについてのベースを確認、その上でそのトピックについての自分の考えを整理します。
  2. 自分の中に湧き起こってくる問いを書き留めていきます。しかしここでの問いはリサーチを進める上でもしかしたら変わる可能性のある、暫定的な問いです。
  3. 問いを進めていく上での意義や、課題となりそうなことを予想してみます。
  4. ドルフィンという図書室の中で自分の関心に近い本を探し回り、自分の問いの手がかりになりそうな本を探します。
  5. 場合によっては最初の問いを修正しながら、最終的な探究の問いを完成させていきます。

「問いを完成させる」というのは少しパラドキシカルな言い方かもしれません。「問いに答えを与える」ことを重視する教育において「問い」は誰かが用意してくれるもので、必ずしも自分が完成させていくものではないかもしれません。しかし、探究においては「問い」こそが重要な要素で、この部分をどのように洗練させていくかが良い探究の鍵だと言っても良いほどです。

問いを洗練させるための方法を提示しながら、問いを生み出すプロセスを入試で評価しようというのは、かえつ有明がサイエンス科やプロジェクト科という探究型の授業スタイルをずっと取り入れてきたからこそできることです。かつて「アクティブラーニング入試」を日本で最初に立ち上げた時のように、この入試がこれまでの中学入試のあり方に、またも一石を投じるきっかけとなるのではないかと期待しています。