【英語学習】帰国生と国内生のアプローチの違い

日常的に英語に触れてきた帰国生や国際校生の強みは、英語コミュニケーションの場に「慣れている」ことだと思います。慣れているから、「要するに頼みごとをしているのだな」とか「私に何か意見を求めているのだな」などと、相手の発言の「意図」を理解することが得意です。

発音を聞き取る「耳」ができているということもありますが、部分的によく聞き取れなかったとしても、そこは「聞き返せばよい」という気持ちの余裕があるため、結果的に相手の言わんとすることがよく理解できるわけです。

外国人とあまり接することのない国内生から見ると、英語で堂々とやり取りをする帰国生は自分とはかけ離れた凄い英語力を持っているように見えるかもしれません。しかし、必ずしもすべての帰国生が高度な英語コミュニケーションを行っているわけではありません。会話の中には、結構 ”Filler Words”と言われるものが含まれていたりします。例えば次のような感じです。

“Soccer is like,  actually fun to play, you know?”  

ここでの”like”とか”actually","you know"などがfiller wordsで、会話の中に差し挟むインフォーマルな表現です。こういった表現を適宜差し挟みながら、内容としてはシンプルな話をしているだけだったりもするので、帰国生の保護者も、子どもが英語で話をしているからといってそれで英語力があると安心していてはまずいのですが、このあたりの注意は別の記事で書くつもりです。

国内の小学生が英語力を伸ばすには?

さて、それでは国内生が飛躍的に英語力を伸ばすためにどうすればよいでしょうか。まずリスニングについては、談話を「まとまりとして聞く力」をつける必要があります。文のそれぞれの単語を聞き分けたり、リエゾンの仕組みを理解するといったミクロなレベルではなく、もう少し広い範囲の一連の表現をたくさん聞いていくことです。その際、ある単語が聞き取れなかったり文法的には十分に説明できなかったりということは、次の段階に到達するまで放っておいてかまいません。

しかし、理解できない部分を放っておくという学習は、結構子どもにとってストレスになります。分からないことは分かりたいという欲求があるからですが、英語を学び始めている子どもに、主語だとか動詞だとか、ましてや過去形などといった文法知識(宣言的知識)を一気に与えることは英語嫌いにしてしまう危険性があるので避けるべきです。文法的知識は決して無駄ではありませんが、小学生(特に4年生くらいまで)の間は、むしろ身体に馴染ませような知識(手続き的知識)が大切で、そのためには、英語に触れる「量」を確保することが必要になってきます。

例えば、半分くらいは分かるけど残り半分くらいはよく分からないというものにたくさん触れていき、完全ではないけれどなんとなく分かったという程度でどんどん先に進んでいくという学び方で、こういう学び方をするためには、子どもの興味や関心を題材にすることがポイントになります。歌でも映画でもアニメでもマンガでもよいのです。たいてい子どもが面白いと感じるものは、「勉強」とは関係のない、「遊び」の領域にあるものです。

このあたりについての「遊び」をどれほど許容するかについては、今度は親の側にとってストレスになるかもしれませんが、子どもの英語力につながっていると考えれば、ストレスも緩和されるのではないでしょうか。