「グローバル高大接続」シンポジウムが開催されました

5月27日に明海大学で行われた21世紀型教育機構のシンポジウムに参加してきました。海外での高大接続の現状について、また、資格取得を超えた「議論できる英語力」や、主体的な学びにつながる高次思考など、従来型の知識偏重大学受験のあり方から「グローバル高大接続準備教育」へのシフトがはっきりと見えたシンポジウムでした。

以下思いつくまま感想を列挙します。

  • ハワイ大学(あるいは米国の大学)の取り組みには、日本の大学でも採り入れるべきものが多数あると感じました。中でも「Personalized Learning」については、テクノロジーを利用することで一人一人の理解度や進度に合わせた学びを実現する考え方で、大学のように大規模一斉講義を前提としている教育機関であればこそ、必要な仕組みだと思われます。
  • IBやAPなど欧米のプログラムは、日本でもよく知られるところになってきており、実際よく研究されています。今回、都立国際のIBコース立ち上げに関わった明海大学副学長の高野先生がポイントをついた包括的な説明をしたこともあり、会場に来ていた人はみなすんなり理解していたようです。一昔前なら、IBといってもほとんど通じなかったのですが、TOKやらExtended Essay、Casといった単語が普通に使われるようになったのだなあと時代の変化を感じました。さらに言えば、工学院附属中高の事例のように、IBのセミナーや研修などに教員を派遣して、そのエッセンスを研究しつつ、IBを超えた学校を目指すという意欲的な動きが21世紀型教育校にあることが確認できたことも収穫でした。
  • 浅田和伸氏は、現職の文科省審議官の立場から、国民全体の英語スタンダードをどう高めていくか、また、社会構造の変化に対応するにはどのような高大接続が望ましいのかというお話、一方、パネルディスカッションにおいてIGS代表の福原正大氏は、第4次産業革命をサバイバルし、日本を牽引していけるグローバルエリートをどう育てていくかという観点が際立っていました。21世紀型教育機構のスタンスは、理事長の吉田晋先生や工学院校長の平方先生のお話に垣間見えていたように、グローバル市民と創造的才能者の活躍できる社会の実現ということでしょうか。それぞれの立場から日本の教育を変えていこうとする熱気が会場を包んでいました。

GLICCも21世紀型教育ベースを掲げる学習コミュニティです。相対的ポジショニングをめぐる競争から、主体的に学び続ける学習者の育成というスタンスへというシフトをもっと鮮明に打ち出していく必要があると、大いに刺激を受けてきました。