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八雲学園のグローバル教育

By hiros on 2021/09/02(Thu) - 07:21

昨日、八雲学園の塾対象説明会に行ってきました。昨年はコロナ感染拡大の状況で開催が中止されましたが、今年はソーシャルディスタンス、アクリル板による仕切り、さらに会場の換気など、参加する塾の先生に配慮した万全の感染対策の中で実施されました。



冒頭は、カリフォルニア州サンタバーバラにある八雲レジデンスでの研修の様子や、ラウンドスクエアの国際的な交流の様子などを収めた動画が流されました。続いて高校2年に在籍している生徒の英語によるスピーチです。グローバル教育こそが八雲学園のアイデンティティであるということを確認するかのようなオープニングでした。



海外に行くことが制限される状況は、どの学校にとっても残念なことです。とりわけ八雲学園は「本物にふれる」ことを提唱し実行しているだけに、その思いは強いはずです。しかし、その制約の中でも正しくリスクを見極め、学業や行事を通して生徒の成長をサポートしていくことが、学校の使命であるという覚悟が、理事長校長の近藤彰郎先生のお話からひしひしと伝わってきます。



聖学院のグローバル教育4.0―21世紀型教育を考える➂

By hiros on 2021/06/17(Thu) - 08:12

聖学院では2021年度より高校グローバルイノベーションクラスを新設し、これまでのグローバル教育の質をさらに充実させています。同校のこれまでのグローバル教育の質がどういうことかご存知ない方もいるかもしれませんが、例えば2020年度の海外大学合格実績では、ペンシルバニア大学(Times Higher Educationの世界大学ランキング13位)やワシントン大学(同ランキング29位)を初め、UCサンディエゴやUCデーヴィス、またリベラルアーツカレッジの名門、カールトンカレッジなど、圧倒的な合格実績を出しています。

また、学校独自のプログラムとして、タイ北部の国境付近の山岳地帯で、現地の人々と交流する「メーコックファームプロジェクト」など、国際バカロレアのCASエクスペディションにあたるような活動を実施しています。サービス(奉仕活動)というのが、世界標準のカリキュラムには組み込まれていることが多いのですが、聖学院はそのような意味でのグローバル教育を実践している学校です。

三田国際 2022年入試に向けて始動 ー「21世紀型教育」について考える ②

By hiros on 2021/06/15(Tue) - 21:10

三田国際学園の学園長である大橋清貫先生がGLICCに直々にパンフレットを届けてくださいました。今年の春に第1期生が卒業した三田国際は、ロケットに譬えるならば大気圏を越えて、さらなる広大な宇宙へ発信という段階に入ります。どういうことかと言うと、「三田国際は多くの受験生を集めてはいるが、合格実績がまだ出ていない」と評価に慎重だった受験市場関係者がいよいよ三田国際の実力を認めざるを得ない段階に入ったというわけです。

大橋先生は、21世紀型教育を推進する「宇宙」に出るためには、合格実績という「重力」や世間の評価という「大気圏」を飛び出すだけの推力が必要であることを十分理解されています。塾屋である私のことを配慮してか、数字をきちんと提示してくださいました。
 
国内大学実績は国公立大学が13名、医学部医学科が3名(うち1名は現役で国立大医学部)、慶應・早稲田・上智・理科大・ICUは29名(うち28名が現役)、世界大学ではランキング100位以内の大学に9名、200位以内は15名とのことです。

スキル重視と「脱近代」重視 ―「21世紀型教育」について考える ①

By hiros on 2021/06/15(Tue) - 13:32

GLICCは「思考力×英語×ICT」を中心に据えた21世紀型教育ベースの学習コミュニティとして、2016年に開校しました。5年前に比べて「21世紀型教育」という言葉は広がってきましたが、人によってその捉え方は異なっているかもしれません。大きく二つに分けるならば、21世紀を生きる上で必要となるスキルを身につけるという見方と、20世紀をクリティカルに捉え返し、一人一人の個性や才能を認め合う人間関係を重視するという見方です。
 
前者は、具体的には英語力や論理的思考力、デジタルテクノロジーを駆使する力などを育成することですから、20世紀型カリキュラムの延長上であっても構築していくことが可能です、一方で、後者は、脱偏差値、批判的・創造的思考、才能や個性を伸ばす教育ですから、これまでの伝統的な学力観に対して創造的破壊を起こしていく覚悟が求められることになります。
 

慶應湘南藤沢高校 帰国生入試の変更点ーグローバルアドミッションの時代⑥

By hiros on 2021/05/12(Wed) - 11:50

慶應湘南藤沢高等部では、一般入試の募集はしていませんが、全国枠入試と呼ばれる特別入試と帰国生入試を実施しています。昨年まではそれぞれ約20名と約30名だったのですが、2022年度入試では、内進生が増えることに伴い、それぞれ若干名、20名と募集人員が縮小します。

試験内容にも変更があります。全国枠入試では学力試験がなくなり、書類と面接による選考になります。帰国生入試でも英語の筆記試験はなくなり、英語資格を提出する形式に変わります。また、国語・数学も従来の各60分から各45分に短縮され、国語は「課題型小論文」の出題になるということです。英語資格については、TOEFL iBT 70点以上、またはIELTS 5.5以上、または実用英語技能検定試験(S-CBT/CBTを含む)準一級以上を取得していることが条件です。

東大帰国生入試の小論文―グローバルアドミッションの時代⑤

By hiros on 2021/05/10(Mon) - 04:15

2021年の東大の帰国生入試の小論文問題が東大のホームページで公開されています。

東大の帰国生入試は、正式には「外国学校卒業学生特別選考 第2種」という名称で呼ばれていて、私費留学生対象の第1種と基本的には同じ問題が課されます。二つの違いは、まずは出願資格で、大雑把に言えば国籍によりどちらの入試を受験することになるかが決まります。そして筆記試験の違いとしては、課される小論文の言語です。片方の日本語小論文は1種2種ともに日本語で解答する問題ですが、もう一つの小論文は、第1種の受験生は日本語で解答、第2種の受験生は出願時に選択した言語で解答することになっています。

2021年の文科1類の問題を見てみましょう。

A(日本語で解答する問題)

「悪法も法」という法格言がある。あなたが暮らしたことがある日本以外の国での体験や観察も踏まえ、具体例を挙げ、あなたの考えを反対論も考慮しつつ述べなさい。

B(出願時に選択した日本語以外の言語で解答する問題)←1種の受験生は日本語で解答する問題

工学院大附属 Cambridge International School 認定ーグローバルアドミッションの時代④

By hiros on 2021/05/10(Mon) - 02:47

5月7日(金)にライブ配信された第28回のGLICC Weekly Eduに工学院大学附属高校の教務主任である田中歩先生が出演、同校がケンブリッジインターナショナルスクールに認定されたことを明らかにしてくれました

これまでも日本初のケンブリッジイングリッシュスクールとして高度な英語教育が知られていたのですが、今回は、インターナショナルスクールとして世界標準であることが認定されたことになります。ケンブリッジインターナショナルスクールの認定を受けているのは日本で12校ですが、1条校としては工学院が全国で初の認定です。

これにより、工学院のハイブリッドインターでの授業がIGCSEやASレベルに接続されることになります。ASレベルの先にある A2レベルをイギリスなどで提供しているオンライン教育などを組み合わせて履修することで、Cambridge や Oxfordにダイレクトにつながる条件を満たす可能性が出てきました。

IBDPのDual Routeに見る高大接続の意味―グローバルアドミッションの時代➂

By hiros on 2021/05/04(Tue) - 18:23

今回のコロナパンデミックは受験制度のあり方を考える上でも大きな事件だったと思います。今春は試験制度の変更や授業形態の変化で国内の受験生は大きな影響を受けましたが、海外の受験生もまた大きな影響を受けました。帰国入試がオンライン入試などに変更されたケースもあれば、出入国の制限から帰国そのものを断念する家庭も少なくなかったようです。
 
なかでもIBDP(国際バカロレアのディプロマプログラム)を履修していた生徒は、昨年に引き続き、今年2021年5月の最終試験でも大きな影響を受けました。IBO(IB本部)はDual Routeといって、二つの選択肢を与えました。一つは、最終試験を行うルートで、もう一つは最終試験を行わないルートです。
 
このどちらの道を選択するかは、その国の感染状況や、学校で試験を行うリスクなどを考慮し、IBOと各国の教育省とが協議して決定したようです。結果的にはExam Route(最終試験を実施するルート)を選択した国の方が多数であるようですが、それでもPaper2が中止になったり、それによって内部評価(学校での成績)の比重が変わるなどの影響は少なからずありました。しかし、一番困惑しているのはNon-Exam Route(最終試験を実施しないルート)の方に置かれた学校の生徒たちです。

「変化を生み出す力」ーグローバルアドミッションの時代②

By hiros on 2021/04/27(Tue) - 07:59

GLICCスタッフの多くは外国籍の方です。英語講師はもちろんのこと、事務スタッフもこれまで、イギリス、デンマーク、カナダの人が担当してくれました。現在は中国からの留学生(大学院生)と日本語を勉強しているイギリス人が担当してくれています。

彼ら20代から30代前半の人たちの仕事ぶりを見ていると、一つの会社に「就社」するという感覚はありません。会社は経験を積む場の一つです。ある程度経験を積んで、他に面白そうなことがあれば、どんどんチャレンジしていくという点が共通しています。

もちろん彼らとて、結婚して子育てをする頃になれば、落ち着いた生活を望み、マイホームを購入することを考えたりもするでしょう。しかし、その場所は出身国とは限らないし、その住宅を維持するために、会社に自分の時間を捧げるという生き方を選択することはあり得ません。

昭和世代の日本人にとってマイホームを持つことは、人生の目標でした。都内に一戸建てでも持てれば「勝ち組」として羨望の的となった時代もありました。しかし、経済が右肩上がりだった時代が終わり、さらにリモートワークがデフォルトになる今の時代においては、定住にこだわることは様々なリスクを抱えることだとも考えられます。

「学校」の地殻変動⁻グローバルアドミッションの時代①

By hiros on 2021/04/15(Thu) - 08:06

昨日カナダ人の先生と話をしていて驚きました。その先生の住んでいるオンタリオ州ではコロナでホームスクールを選択する人がたくさんいるというのです。ホームスクーリングがアメリカなどで広がっているという話は知っていましたが、驚いたのは、日常的な選択肢の一つとして、さらに言えば市民の当然の権利としてそれが存在しているという感覚です。



日本では学校のオンライン対応の不備が問題視されますが、「通学できないからオンライン」という学校側からの発想ではなく、「通学したくないからホームスクーリング」という、生徒や親の側からの要請にオンタリオの教育省が対応できているということに驚いたのです。



日本でも不登校に対して少しずつ寛容になってきてはいると思います。そしてそれをサポートする通信制高校の存在や、経済的に余裕のある人にとっては海外留学といった選択肢は、何がなんでも学校に通って卒業しなくてはならないといったプレッシャーを和らげてくれています。



しかし、カナダ(オンタリオ州)では届け出の手紙1枚で、すぐにでもホームスクーリングが可能になるというのです。教育が子どもにとっての権利であり、親にとっての義務であるということを端的に表している事例のように感じられます。