工学院大学附属 ワークショップに見る新機軸

工学院大学附属中高は、グローバル、イノベーション、リベラルアーツ、さらに英語の運用力とICT活用力を柱としたハイブリッドインターナショナルコースを設置し、21世紀型教育を実践している学校です。

もともと理工系大学の付属ということで、STEM教育のベースがあり、新宿の大学キャンパスの施設を利用できるメリットもあることで知られていたのですが、平方邦行校長先生がグロ―バル市民の育成を含む21世紀型教育の方向へ完全に舵を切ったことで、学校のポテンシャルがどんどん拡がっていったのです。

この新学期には高校の新入生たちがオリエンテーション合宿で、日本では初めてとも言える画期的なワークショップを体験してきました。その詳細な様子が21世紀型教育機構のホームページに掲載されています。

​このワークショップの画期的な意味は、生徒の学びを学習対象から考えるのではなく、学習という行為そのもの、つまりメタ認知の特性を直接扱っている点にあります。多くの場合、学びが成立するには、学ぶ対象そのものよりも学習者の関心や意欲が問題となります。したがって、学ぶ関心や意欲をどう客観的にデータ化するかが学習を科学する鍵なのですが、工学院では、それを生徒のリフレクションからデータ化し、先生方の経験値と結びつけるという試みを行っているわけです。

認識の枠組みを知り、それを超えるための思考コードを用意したと思ったら、その思考を思考するメタ認知を学習に活かそうとしているのです。こういう意識的な学びを学校全体として取り組んでいるという意味で、工学院は間違いなく先頭ランナーです。

昨年工学院の先生方がGLICCにいらして、哲学授業の研修を実施したことがありましたが、そのときの様子は、確かに印象的でした。真剣な議論を交わしているかと思うとふとした瞬間に笑いが湧きおこる…。その絶妙なインプロビゼーションには、教員間の息が合っていることと、お互いへの信頼やリスペクトが感じられたのです。

今回のワークショップの記事を読み、担当している先生は違えど、あのような雰囲気が全体に行きわたり工学院の教育を推進しているのだろうと納得しました。工学院もまたGLICCが応援する学校の一つです。