IB入試の拡がりと留意点

国際バカロレア入試が拡がりを見せています。この2年ほどの間に急速に拡がり、2017年10月時点で、50以上の大学がIBを活用した入試を実施しています(文科省による資料はこちら)。

この資料に出ている大学の入試は、国内でIBを履修した生徒の受験資格も認めているもので、帰国生でなくても受験可能です。
ただし、注意しなくてはいけないことは、学部によってはIBの履修科目について条件をつけていることです。これは、海外でIBDPを履修している帰国生も後になって初めて知ったという人が多く、ぜひ知っておいてほしいことです。
例えば、筑波大学では学群・学類ごとにどの科目を履修している必要があるかを指定しています。理系の学部であれば数学をHL(Higher Level)で履修しておくことは当然としても、医学群医学類では、数学に加えて理科2科目をHLで履修しておくことが必須となっています。一般入試で考えれば理科2科目の履修が当然と思われるかもしれませんが、IBDPの6つの教科カテゴリーはそのように分かれておらず、Artなどを履修する「グループ6」の代わりの選択科目として理科を履修する必要があります。
こういうことをIBDPが始まる前に知っている生徒や保護者は少数で、海外のIB校にいる進学カウンセラーも日本のそういう特殊事情までは知らないので、生徒の好き嫌いで科目やHL/SLの選択をしてしまう場合が多いのです。
しかし、いったん科目履修を決めてしまうと、途中変更に対して学校側が柔軟に対応してくれないことも多く、行きたい学部を断念せざるを得ないことが往々にしてあります。特に理系学部進学に対する日本の特殊事情がそのような事態を招いていると考えられますが、受験を前にしてそのような制度に対して文句を言っていても始まらないので、海外帰国生や国内のIBDP履修を検討している人は十分にこのことを知っておいてほしいと思います。