高木チューターのIB生活 ~スウェーデンより~第5回

こんにちは。GLICCチューターの高木美和です。今回は「IB生活」の最終回です。日本の高校との違いを、1) 科目選択、2) 部活、3) 行事、の三つの側面から書いてみます。このコンテンツの続きを見るには、ユーザー登録(無料)が必要です。

1) 科目選択

本では文系、理系に分かれることはあっても、必修科目というのが決められていて、自分で科目をすべて選ぶことはできません。それに対し、IBでは5つの科目群の中から自由に選ぶことができる上に、日本の高校では設置されていない科目を学ぶことができます。私がIBを選択した理由の一つは、高校で心理学が学べるという点にありました。興味のある科目を学んで、しかも大学が目指せるのだからそんないい話はないと思いました。

 

科目選択があるということは時間割も人それぞれということです。高校生なのに登校時間が朝ではなかったり、逆に最初の1時間だけ授業を受けて帰ったりすることもありました。その点、大学生活に少し似ているところがあると言えます。ただし、課題が多いので、とても遊んだりする時間の余裕はありませんが…。

2)部活

これはIBに直接関係することではないかもしれませんが、私の通っていたIB校は部活が1つしかありませんでした。それも女子ラグビー部です。
日本では部活動を重視する部分があり、私も日本の学校に在籍していたときには所属していました。勉強の合間に息抜きとして活動があることもいいと思いますし、先輩としての責任感が生まれる点でも悪くないのではないかと思います。先輩後輩という関係を重視する環境は、世界的に見れば特殊なのかもしれませんが、目上の人に敬意を表すことが求められる日本では、大事だと思います。帰国子女はこれが苦手だとよく指摘されるようですが…。

3)行事

日本では体育祭、文化祭、修学旅行など通常授業以外に行事がありますが、IBでは始業式、卒業式のみです。そもそも体育という授業がありませんでしたし、クラスでの活動もほぼないので、文化祭でクラスごとに出し物をするということもありません。
科目によっては修学旅行のように2泊3日ほど旅行に出かけることもあります。私の受けていたEnvironmental systemsという授業では森の奥にある家に3日ほど滞在し、川や池などに入って微生物を採取したり 森に罠を仕掛けて虫を捕まえたりなどしました。率直な感想としては気持ち悪かったです。ただ、ほかの生徒と一緒に時間を過ごすことは普段あまりないのでその点ではいい経験になりました。例えば、私は毎日お風呂に入ります。多くの日本人がそうなのではないかと思いますが、3日いて一度も入らない人もいました。むしろ毎日入ろうとしたのは私だけで、ほとんどは3日中1日だけでした。夜遅くになってもベランダで真っ暗な中話している生徒がいましたし、同じ部屋にいたインド人の生徒はインド調の音楽をずっと流していました。日本の修学旅行では全く考えられないようなことを体験しました。
また、卒業式は日本のそれとは大きく違うのでいい経験になりました。IBとしての卒業式というよりスウェーデン式の卒業式でした。スウェーデンでは卒業式が日本の成人式に相当するような印象を受けました。まず女の子はみんな白いドレスを着て、男の子はみんなスーツを着ます。当日専用の帽子をかぶって、笛などを吹きながら町中を歩きます。多くの学校は大きなトラックを借りて、その荷台に乗り大声を出したりしながら走ります。日本でそんなことをしたら迷惑極まりないと思いますが、スウェーデンではその日だけなんでも許されるそうで、大声や騒音を立てても地元の人は「おめでとう」と笑顔で手を振ってくれます。IBを受けている最中も、その日のために頑張っているという生徒がいるほどでした。私自身本当に楽しかったです。かしこまった日本の卒業式も素敵ですが、国によってこんなにも違うのかと知れたこともとても嬉しかったです。

このように海外の高校と日本の高校の違いは様々で、よかったり悪かったりします。人によってどちらがいいか感じ方も違うと思います。ただ、人と違うことを経験することは一生の財産になりうるものだと思うので、私はそんなチャンスをくれた両親に感謝しています。どちらが正解かはわかりませんが、子供を海外へ連れていくか悩まれている方の参考になればと思います。質問等ございましたらGLICCを通して答えさせていただきます。5回にわたり読んでくださった方ありがとうございました。