富永チューターの【数式のない算数・数学】ー第1回「論理パズル」

チューターの富永です。
先週は数学の学習の進め方についてお話しましたが、基本的に問題を解くというのが中心でした。
そこで今週は、問題を解くということ自体に興味を持っていただくため、知識なしで楽しめる論理パズルというのを紹介します。 このコンテンツの続きを読むにはユーザー登録(無料)が必要です。

次の問題を考えてみてください。有名な問題です。
これが正しいと思える解答が出てくるか、いろんな質問を考えたけどもう何も浮かんでこないよ!というところまで考えてみてください!

「二手に分かれている道があり、片方の道は天国に、片方は地獄に続いている。分かれ道には天使と悪魔が立っていて、天使は必ず本当のことを言い、悪魔は必ず噓のことを言う。どちらが天使か悪魔かを見た目で判別することはできない。二人の内一方に一度だけ質問できるとき、どうしたら必ず天国へ行けるか。」

どういう質問をしたらいいでしょうか?いろいろ考えてみましょう。
例えば「こっちが天国への道ですか?」と聞いてみることにします。こうすると正しい道を指さしていても間違った道を指さしてみても、片方はYESと言い、片方はNOと言います。これだとどちらがどちらの道だかわかりません。

この質問の欠点は、天使と悪魔のどちらか片方にしか質問できないのに、天使と悪魔から返ってくる答えが違う質問をしているという点にあります。もう一ひねりして、天使と悪魔から返ってくる答えが一緒になる質問が作れたらいいですね。

そこで、ある道を指さしながら「『こっちが天国への道ですか?』と聞いたとき、あなたは『はい』と答えますか?」と質問してみることにします。すると、天国への道を指さしていたときは天使も悪魔もはいと答え、地獄への道を指さしていたときはいいえと答えます。(自分で確かめてみてください!)これで天国への道が確定できるので、この質問が答えです。
(答えが正しいことを確かめたい、もっと詳しい解説が見たいという人はこちらのページを参照してください
解けても解けなくても、頭を働かせて面白く感じられたのではないでしょうか?

解答プロセスを振り返ってみましょう。とりあえずいろんな質問を考えてみたと思います。あてずっぽうでうまく行けばいいのですが、この問題だとあまりうまくいかないと思います。また、前に似たような問題を解いたことがあるならば、似たようなアプローチを試してみたと思います。
そして、試してみたものがうまくいかなかったら、何故その方法がうまく行かないのかを考えてみました。このパズルだったら、天使と悪魔で答えが違う質問をしたのがいけないのでしたね。
そしてその欠点を修正するアプローチを考えました。今回ならば、天使と悪魔の答えを一緒にするために、一文「『はい』と答えますか?」を追加しました。そのあと出してみた答えが正しいかどうかを確かめます。今回はこれで正解が得られたのでよかったわけです。

数学の問題を解くプロセスも同じです。まず問題の条件、求めたいものを理解して、どんなふうに解くかという計画をとりあえず立ててみます。それを論理に従いながら実行して、うまく答えが求まればそれでよし、ダメだったらダメな部分を分析して改善して次の案を考えます。答えが求まったら、もう一回それが正しいかどうか、別のやり方で解けないかなどを吟味します。(サラリと書いていますが、問題が難しくなればなるほど、計画を立てたり計画の改善をしたりするのが泥臭い作業になります)

つまり、さっきのパズルを解くのが面白く感じられたら数学の問題を解くのも面白くなるわけです。また、以上のプロセスを踏むことを意識すれば、あてずっぽうでたまに解けるけど全然数学の問題って解けなくてつまらないということは減ると思います。一問一問このプロセスに従ってみて、解けなかった問題をきちんと解けるようにすれば、少しずつ自分が解ける範囲の問題が増えていくので、加速度的に問題を解くのが楽しくなってくると思います! 一歩一歩頑張ってみてください。